板目の模様を描き込む場合、周囲の色柄に合わせた模様を考えて着色していきます。
木の模様は、年輪部分が濃い茶色や黒っぽい色の線として目に見えることが多く、修復の場合も年輪の模様を似た色の線で表すことが多いです。
板目模様の一部が欠損している場合、年輪の線が途中で途切れているため、続きの線を書き足していく事になります。
この時、無計画に線を引いていくと違和感のある模様になってしまいます。片方の年輪から引き始めた線は、反対側の年輪の端に正しくつなぐ必要があるのです。
線を書き足していく前に、「この線は何処に繋げば良いのか」ということを考えながら全体を見て線引きの計画を立てます。
板目模様はうねりのある曲線が多いので、杢目の流れを引き継いで終点まで線を描き込んでいきます。欠損部が大きい場合などは、ほとんど創作で模様を描き込んでいく場合もあります。
この木目描きは一般的に補修屋さんにとって「楽しい作業」のひとつであるとも言えます。しかし、私の場合は、残念ながら多くの現場で時間に追われていることがほとんどで、楽しんでいる余裕はありません。