
熱で溶かす樹脂タイプには
爪で強く押さえると
・A 凹むタイプ
・B 砕けるタイプ
が存在すると先月お話しいたしました。
Aは柔軟性があり
Bは堅い性質があるため、上記のような損傷状態になるのですが、
多くの木製床のリペアに向いているタイプは、
Aのタイプであることが多いようです。
床は人が歩行するたびに負荷がかかり、床材にはたわみが発生します。
マンションなどの集合住宅は、騒音対策で床が柔軟にたわみ衝撃音の発生を抑えるタイプとなっていることも多く、
歩行時に、ふわっとした感覚になる方も多いようです。
このような特性のある建材をリペアする場合は、柔軟に素材に追随してくれるタイプの樹脂が適しています。
したがってAタイプの樹脂が向いていることになります。
Bタイプは床の動きに追従出来ずに次第にひび割れて樹脂が剥落していくケースを多く見てきました。
添付写真の事例はいずれもBタイプの樹脂による補修部の崩れです。
それなら、すべての床を最初からAタイプで直せば良いのにと思われる方が多くいらっしゃると思いますが、
残念なことに、困難な理由が存在します。
それは樹脂の作業性という点です。
Aタイプは耐久性に優れるのですが、
Bタイプに比べると取り扱いに癖があり、扱いにくさから敬遠する作業者が多いようなのです。
そのため、直す素材への適、不適を考慮せずに
作業性優先で補修してしまう現場が多く発生している現状があります。
AとBタイプは製造メーカーが異なるため、
Bタイプの材料を使う業者は、もともと、Aタイプでの作業を行なっていないケースもあるようです。
仕上がり直後の状態はABとも同じ見た目なので、材料の違いはわかりません。
補修後に問題が起きてから発覚することになるのですが、
賃貸物件の場合などは、退去検査のたびに同じ箇所を直すような不経済なケースもあります。
以前リペアで入った現場で、監督から「予約がなかなか取れず1ケ月待ちました。」と言われたことがありました。
補修業者は他にも沢山あるのですが
「すぐにとれてしまう材料で直されると困るから、予約が取れるまで待ちました。」とのことでした。
「実は他の業者に依頼したこともあるんです。でも、ボロボロになる材料だと直した意味が無いから。」ともおっしゃられていました。
補修業界の事情をよく理解しているプロは、品質面にも妥協がありません。
伊藤リペアーでは、床材の修復でBタイプの樹脂を使用しませんのでご安心ください。