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始めて修復の技術に出会ったのは家具店勤務時代でした。

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初めての配属は卸部門でした。全国の家具店からの注文を受け付け、納品の手配、製造メーカーへの発注業務を担当しておりました。家具は取り扱いが難しく、物流上の事故品が一定割合で発生します。そのため運送業者の選定は細かく取り決めがされており、プロ中のプロの運送業者に依頼することに神経を使うのが当たり前だと教えられていました。
その後、小売店舗に異動し、フロアマスターとして家具と格闘の日々を送っていた中で、キズのある家具の運命について考えさせられたことがありました。返品の効かない品は廃棄手続きがされる事もあったのです。”本店”の格を守る意味合いもあったのですが、B級品は居場所がなかったのですね。
その後、新設された品質管理部署に異動し、婚礼家具メーカーで研修を受けました。完成までの各製造工程で作業し、ノウハウについて学びました。最終研修は、修理部門でした。職人さんがキズ付いた婚礼家具に、ちょいちょいっと手を加えると、全く判らないレベルで直ってしまいました。パッと見た感じは勿論、近づいて見ても直した痕跡を見つけられない!まさに神業です。研修メンバーも必死で修理を試みますが、やればやるほど酷くなる!結局、参加した家具屋さんの中で満足に直せた人は誰もいませんでした。
当たり前のことですが、一流の職人の技を短期間の研修で真似できる訳ないですね。しかし、この時に受けた感動的な衝撃は忘れる事が出来ず、家具のキズ修復の道につながっていきました。

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