住宅のリペアは大きな工事から小さな物まで多種多様ですが、内装関係の、主に木質系の建材キズを修理する業者は「補修屋さん」「リペア屋さん」などと呼ばれる事が多いです。
この補修屋さんの仕事は、「立って見たときは判らないが、近くで見たら判る。しかし、全体的には気にならないくらいに直ります」というスタンスで修理している事が多いです。
家具の場合は、「近くで目を凝らしてみても全く判らないレベル」が求められ、職人さんもそれに応える仕事をするのですが、建築の補修屋さんが劣っていると云うより、「婚礼タンスの扉の鏡板(真ん中の大きな板のことです。実際に鏡が取り付けられている事もあります)」と住宅の「床」に求められる機能や美観などの性質の違いが大きな要因で、そのために要求される完成度にも差が出るからだと考えるべきかな、と思っています。
キズに対する修理方法も家具と建材では異なっていました。家具店時代の修復法を用いる機会は少なくなりました。道具も材料も違い、新しく覚えなければなりませんでした。今までに修得した技術が却って建材リペアの修得にブレーキをかけることになっていると気付いてからは、家具店時代の技法を封印(これは結構、難しいです。気付いてもなかなか出来るものではなく、しばらく葛藤の日々が続いたというのが実情です)して修行いたしました。
一見すると同じ修理の技術なのですが、境界線を引いても良い程、世界が違っているなと感じていました。
このような差はどういったところから来るのでしょうか。